2015年4月12日(日曜日)
本年2月のNew England Journal of Medicine誌に興味深い論文が掲載されています。
ピーナッツアレルギーの発症のリスクが高いと考えられた生後4〜10ヶ月の乳児640人を対象として、ピーナッツ摂取群とピーナッツ回避群との2群に分けてその後経過観察を行ったところ、生後60ヶ月(すなわち満5歳)時におけるアレルギー疾患有病率が、ピーナッツ回避群で有意に高率だったとの結果が報告されています。
"抗原の経皮的な侵入がアレルギーの感作を起こしやすいのに対して、特に食物抗原の経消化管的な侵入は逆に免疫寛容を誘導して、アレルギーを起こりにくくする"という最近話題の見解についてはこれまでにも何度も述べてきましたが、今回の論文のデータも正しくこの考え方を支持する結果と言えるでしょう。
勿論、食物抗原に対するアレルギーを発症してしまった場合には、以降は厳重に摂取を慎む事が必要です。
しかし、アレルギーを発症する前の早い段階から積極的に経口摂取する事は、その後のアレルギー疾患発症を予防しうるのかも知れません。
但し、未だ確定した見解ではありませんので、今後のさらなる症例の蓄積が必要と思われます。